2023年12月 5日 (火)

少発

アメリカカンザイシロアリ飼育ケース 今年はあまりご紹介できていなかった、アメリカカンザイシロアリ飼育ケースからご紹介したいと思います。今年の傾向として、羽アリの発生が少発であったことが挙げられます。

アメリカカンザイシロアリの羽アリは季節を問わず、真冬でも発生します。しかし当社で飼育中のアメリカカンザイシロアリの羽アリが最も多く発生するのは、5月中旬から下旬です。これは実際の現場でも同傾向にあります。

しかし今年は2月に纏まった発生があり、例年最も発生する5月中下旬には発生がありませんでした。その代わりに7月下旬に纏まった発生がありました。過去にもこのような現象は見られたことがあり、結論的にはアメリカカンザイシロアリの羽アリ発生時期は特定していないということになります。

残念ながらアメリカカンザイシロアリの生態を理解していないシロアリ防除業者のホームページには、6~9月の日中に羽アリが発生すると記載されています。酷いシロアリ防除業者になると、アメリカカンザイシロアリすら見たことがないのが現状です。生態を理解していないのに、対策を実施することなどあり得ません。

小員もアメリカカンザイシロアリの生態を、理解しているとは思っていません。だから、飼育や現場での観察から生態を理解しようとしているのです。シロアリ対策の基本はシロアリの生態を考慮することで、薬剤を大量に使うことではありません。ましてや室内で処理するケースの多いアメリカカンザイシロアリ駆除の現場では、どれだけ薬剤使用量を減らすことが重要です。

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2023年12月 4日 (月)

再発しやすい種類

侵入経路薬剤処理 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。先々月に調査を実施した物件で、室内にサクラアリが侵入している案件です。

サクラアリは小型のアリで、晩秋から初冬にかけて羽アリの発生するのが特徴です。小型のアリのためトビイロケアリなどとよく間違えられますが、トビイロケアリは初夏に羽アリが発生するため明確な違いとなっています。

この物件では屋外側から侵入が確認されており、テラス部分から掃き出し窓の隙間から侵入していました。薬剤処理は侵入経路を中心に処理を実施しました。

サクラアリは経験上、再発しやすい種類のアリとなっています。元々生息数の多いアリであり、再発ではなく、別のコロニーが侵入するケースもあります。

羽アリ時期が晩秋以降のため、活性が低くなる時期となるため、薬剤が効率的に効きにくいことも理由の一つです。特に来春の状況を確認しながら、再処理が必要かどうか判断したいと思います。

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2023年12月 3日 (日)

住宅医スクール2024告知

住宅医スクール2024告知 先日いつもお世話になっている一般社団法人住宅医協会事務局さんから、住宅医スクール2024の講師依頼をいただきました。住宅医スクールは2013年から講師をさせていただいており、2024も快諾させていただきました。

住宅医スクールは、一般社団法人住宅医協会が主催する既存住宅の調査診断・改修設計・施工・維持管理等の基礎から実践までを学ぶ実務者向けスクールです。英国の建築病理学を参考に、2006年に岐阜県立森林文化アカデミーで開講した木造建築病理学講座の内容をベースとして2009年に名古屋で開講されました。

その後、東京や大阪を始め毎年各地で開催していましたが、2021年から新型コロナウイルスによりオンライン形式により開催されています。既存住宅の調査・診断から性能向上改修・維持管理まで1年間で体系的に学べる実務者向けスクールで、地域の住まいのドクターとなる『住宅医』を育成・認定されています。

講義内容は、構造・温熱・省エネ・高齢者・防火・耐久性等全11回22講義で構成されています。住宅医スクール2024の題目は、昨年から少し変更となり木材劣化の基礎と対策②『シロアリの生態と蟻害の事例、防蟻対策』で3月16日(土)の予定です。これまでの講演内容から、事務局さんで最適な題目としていただきました。

住宅医スクール2024は今季で15期となり、2月から11月まで開催、オンラインにて年1回通年制で合計11日間 22講義が開催予定となっています。詳細は一般社団法人住宅医協会の住宅医スクール2024をご参考ください。オンライン講義のためオンデマンド受講も可能で、1日(2講義)から受講可能でスポット受講は10,000円/2講義となっています。ちなみに小員の講義の日には、昨年同様京大大学院簗瀬准教授による木材劣化の基礎と対策①『木材腐朽菌・害虫の生態と対策』となっています。

小員の講演では、実際の現場でのシロアリ蟻害事例から調査診断のポイント、シロアリの生態を考慮したシロアリ対策、駆除処理や予防処理の実例、シロアリ防除用薬剤など多岐に渡る内容を予定しています。当社では三現主義、『現場』『現物』『現実 』の3つの『現』を重視、机上ではなく実際に現場で現物を観察して現実を認識したシロアリ対策をコンセプトとしています。それらアカデミックな内容で情報を提供できるよう、講義プレゼン作成のための資料集めを空き時間を見つけて始めたいと思います。

当社ではビルダーさん向けの講演やビルダーさん主催で一般の方向け勉強会の講師などもさせていただいておりますので、詳細は阪神ターマイトラボのウェブサイトをご参考ください。

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2023年12月 2日 (土)

食いついた場面を見たことがありません

食いついた場面を見たことがありません 右の写真は先日、シロアリ対策でお伺いした大阪府内の物件で撮影した1枚です。いつもお世話になっている設計事務所の先生の案件で、ウッドデッキにシロアリ被害の確認されています。

調査段階で確認されたのは、ウッドデッキの束付近で確認されたのはシロアリハンターという商品です。脱皮阻害剤を配合した毒餌剤で、シロアリが毒餌に食いつけば、巣まで駆除可能な薬剤として市販されています。

問題は毒餌剤に食いつくか否かで、これまで現場で十数例見てきています。しかしながら、1例も食い付いた事例は見たことがありません。いずれも被害の確認された近くに設置していますが、食いつきはありません。

シロアリからすれば巣での餌場までの経路が確立されているのに、わざわざ新しい餌場まで行くのはないに等しいと考えています。食いつかなければ何の効果もない商品で、一度くらいは食いついている場面にあってみたいと思います。

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2023年12月 1日 (金)

2023年12月度ウェブサイト更新

阪神ターマイトラボ2312トップページ画像今月も阪神ターマイトラボのウェブサイトを更新しました。今回のトップページ画像はシロアリ駆除処理の様子で、基礎コーナー部分から薬剤とともにシロアリが流出している様子です。

先月の前半は気温の高い状態でしたが、後半には一気に気温の低下しました。シロアリ駆除処理を実施した日は気温低下が続いた日でしたが、シロアリは元気に活動中でした。

シロアリは冬眠すると考える方がおられるようですが、シロアリは冬眠しません。冬季は活性が低下しますが、冬場でも活動しています。

当社では夏場と冬場では、薬剤の使用方法、処理濃度と処理量が異なります。シロアリの生態と薬剤の特性を考慮し、駆除に最適な方法で対応しています。

薬剤には必ず特性というものがあり、駆除には最適な濃度と処理量があります。しかし季節によって活性が異なりますので、濃度と処理量を変えることで効果的な駆除処理が可能となります。

当社ではシロアリを飼育しており、薬剤の特性を調べるために実験を行っています。メーカーさんの資料では薬剤大量散布した場合の結果であり、シロアリ駆除を目的としていません。シロアリ駆除するためには、より低濃度で効率的に処理することが重要だと小員は考えています。

高濃度薬剤を大量散布した場合、結果的にシロアリ駆除ができる場合があります。しかしシロアリ駆除の本質ではなく、あくまで空爆したかの如く処理しただけにしか過ぎません。当社では必要最小限の薬剤量で、効率的にシロアリ駆除を行います。詳細は阪神ターマイトラボのホームページをご参照ください。

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2023年11月30日 (木)

在来工法

浴室周辺シロアリ被害 昨日はシロアリ調査のため、兵庫県内の物件にお伺いしました。今年の初夏からご相談をいただいていた案件で、やっと点検調査を実施する運びとなりました。

元々シロアリ被害は浴室入口枠で確認されています。床下側から点検調査した結果、浴室土台を中心に被害が確認されました。比較的被害が大きく、かなり以前からの被害であると判断されました。浴室は在来工法ですので、浴室基礎内側からシロアリが侵入、被害を与えたものと考えられました、

その他の箇所でも蟻道の構築やシロアリ被害が確認されましたが、比較的軽微でシロアリ被害の中心は浴室周辺と判断しました。築年数が比較的古いため理想は浴室の更新で、ユニットバス化がベストな選択です。しかし浴室の形状の問題から、ユニットバス化は困難なようです。

リフォームするのであれば、再度在来工法の浴室への改修です。こうなるとメリットの幅が狭くなるため、得策ではありません。実施しないよりも実施した方が良いことは間違いアありませんが、非常に難しいところです。浴室下地中にはシロアリのコロニーがあるため、適切なシロアリ駆除処理は必須です。シロアリ侵入防止処理については、イエシロアリの生息が確認されている地域ですのでできるだけ実施して欲しいところです。

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2023年11月29日 (水)

生息地域

侵入防止処理 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。かなり前になりますがシロアリ調査を実施した物件で、シロアリ被害や侵入などは確認されていない案件です。

現時点でシロアリの生息は確認されていませんが、お施主さまの要望でシロアリ侵入防止処理を実施することとなりました。お施主さまからの聞き取り調査では、以前お住いの家屋の浴室から羽アリが発生したことがありシロアリ対策を実施したいとのことです。

羽アリに関するトラウマをお持ちの方は多く、大量の羽アリを目にされた方はかなり恐怖を覚えられるようです。薬剤の安全性リスクの説明を行い、当社が推奨するシロアリ侵入防止対策について説明、ご納得いただいた上で今回の処理となりました。

薬剤の種類と処理箇所を抑えることで薬剤処理量を大幅に抑制しながら、かつ確実に効果を発揮させることが可能です。当該事例では使用する薬剤を限定すること、処理箇所を考慮することで副次的にゴキブリに対して効果も期待できる点もお施主さまにご評価いただきました。

それ以外の要素として、当該地域もあります。それはこの地域にはイエシロアリの生息も確認されていますので、侵入防止処理は積極的にお薦めした次第です。

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2023年11月28日 (火)

侵入防止処理

シロアリ侵入防止処理 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にシロアリ対策でお伺いしました。リフォーム中の物件で、先日シロアリ駆除処理を先行して実施しています。今回は侵入防止処理でお伺いしました。

シロアリ侵入防止処理は、構造的にシロアリの侵入する可能性の高い場所に対して実施しました。現場監督さんからシロアリ駆除処理で使用した薬剤と、侵入防止処理で使用する薬剤が異なっていると指摘を受けました。

当社では、使用場面に応じて使用する薬剤を使い分けています。建物の構造や材料、薬剤の特性を考慮して使用しています。駆除場面ではその傾向が顕著で、使用濃度などは規定濃度では使用せず特性を生かせる濃度で使用します。これは自社での試験結果に基づいて実施しています。

薬剤の特性は規定濃度で発揮されるものではなく、5年間という保証期間を付与するために決められた濃度です。ですのでこの処理濃度は、薬剤の特性を最大限に発揮させることではないのです。

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2023年11月27日 (月)

勉強会質疑

築数年でシロアリ被害を受けた玄関 今日は先日講師をさせていただきました勉強会で、多くの方が疑問に思われた事項についてご紹介したいと思います。設計や建築される方からすると、ベタ基礎構造なのになぜシロアリ被害が発生するかという事項です。

ベタ基礎構造でシロアリ被害が発生する場合の多くは玄関周辺で、これは在来工法でも理由は同じです。コンクリートの接合部から、シロアリが侵入するというのが結論です。玄関は設計される方や建築される方によって、構造は千差万別です。しかし共通して言えることは、コンクリート同士の接合面が必ずあるということです。

一度固化したコンクリート同士は一体化しません。コンクリートは乾燥して固まるのではなく化学反応によって固化するため、コンクリート同士が一体化することはないのです。そのためコンクリート同士にはわずかな隙間があり、その隙間が一定の大きさになるとシロアリは侵入します。その隙間が出来やすい条件というのが必ずあります。

玄関もポーチと一体化して打設できれば侵入リスクは大幅に低下しますが、玄関とポーチをべつbするとその接合部に侵入リスクは高くなります。平面で打設したコンクリートの上からモルタルやタイルを貼ると、その接合部も侵入経路となります。この場合、コンクリート表面の仕上げやジャンカ処理が重要となります。

もちろんベタ基礎構造では基礎面と化粧モルタル接合部からの侵入もありますので注意は必要です、これらは床下側からの点検調査で早期発見が可能です。いずれにしてもシロアリの生態と建物の構造を考慮し、構造的な対策をどう考えるのか、それを補完するため薬剤をどう使うかがポイントです。

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2023年11月26日 (日)

活動中

活動中のシロアリ 昨日はいつもお世話になっている設計事務所の先生からの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。10年ほど前に、他のシロアリ防除業者で予防処理を実施した物件でのシロアリ調査案件です。

現時点で床上で気になる箇所はないとのことですが、床下側からの点検調査で床組に蟻道の構築とシロアリの活動が確認されました。但し、シロアリの侵入はこの1箇所だけであり、最近侵入したものと考えられました。日によって寒暖差のある季節ですが、地中では温度が安定しているのであまり関係ありません。

対策としてはこの1箇所のみ部分的に駆除処理を行い、後は定期的な点検調査を行う方法で十分対応可能です。勿論、予防処理も対策の一つですが、費用が高額になること及び薬剤曝露リスクが向上することからお薦めできません。

ちなみに10年ほど前に処理された薬剤は、ネオニコチノイド系防蟻剤です。メーカーさんの謳い文句ではドミノ効果によりコロニーの駆除ができるということですが、当該事例では駆除できていません。

保証期間が5年なので残効性が消失しているのではという意見がありますが、規定量散布されているのであれば10年近く残効性はあると思います。メーカーさんが主張するドミノ効果に過剰な期待をされるのは、あまりお薦めできません。

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