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2017年12月29日 (金)

今年度のアメリカカンザイシロアリの羽アリ

当月発生したアメリカカンザイシロアリ有翅虫の死骸 年末の大掃除に併せ、アメリカカンザイシロアリ飼育ケース内の掃除を今年も行いました。今年度は昨年度と同様に現場での事例が多く、飼育日記をご紹介することが殆どできませんでした。実際には、アメリカカンザイシロアリの羽アリが発生した調査記録を取っています。

今年度は、2月、3月、5月、8月、12月に羽アリの発生が確認されました。いずれも小発ですが、5月は10数匹の羽アリが確認されました。羽アリが纏めて発生し群飛と判断するのであれば、小員が飼育する個体では5月となります。しかしアメリカカンザイシロアリの場合、羽アリが脱翅するとかなりの確率で生き延び、新たなコロニーを創出します。小発であっても、年数の経過とともに生息数と被害が大きくなることを考慮すると、群飛に着目してもあまり意味がないものとなります。

アメリカカンザイシロアリの駆除となると、生態を考慮することと生息調査が大きなカギとなります。糞の排出場所から薬剤注入処理を行い、駆除完了とするシロアリ防除業者がいるようですが、それだけではアメリカカンザイシロアリ対策にはなりません。アメリカカンザイシロアリの生息状況を徹底的に調査することが必要ですが、調査するにあたってはアメリカカンザイシロアリの生態を理解する必要があります。

知識不足のシロアリ防除業者は前述の通り、糞堆積場所へ薬剤注入処理をするだけです。アメリカカンザイシロアリの生態を理解していない、或いは理解しようとしていない証拠です。知識不足のシロアリ防除業者は文献に書かれている通り、羽アリは6~9月の日中に群飛すると考えています。実際の現場で調査すればわかりますが、広島や神戸の現場で2月に羽アリを確認しているのが本当の真実なのです。

アメリカカンザイシロアリの生態はまだまだ不明で、各種資料に記載されていることが正しいとは限らないのです。当社ではアメリカカンザイシロアリの飼育を通じて生態研究を行うとともに、独自の薬剤試験等行い、アメリカカンザイシロアリの駆除方法の研究を行っています。詳細は阪神ターマイトラボのウェブサイトをご参照下さい。

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