蟻害と腐朽
昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。昨年末、リフォーム中に腐れかシロアリによる被害か判定できないので見て欲しいとのことから、調査のためお伺いしました。
早速現場で調査すると、被害は蟻害と腐朽の混在したものでした。浴室の壁内で、浴室からの水分によりシロアリが侵入し食害するとともに腐朽も進行した事例です。シロアリは水の存在が必須な昆虫で、雨漏れなどがあればそれら箇所に侵入し食害します。水の存在がない場合には、水を持ち込んで木材を加湿しながら食害します。イエシロアリでは唾液腺に水をためて木材に到達しますが、ヤマトシロアリでは唾液腺の存在が確認されているものの、明確に水を持ち込む方法が確認されていません。ベタ基礎でエアサイクル住宅のような非常に乾燥した条件でシロアリの侵入及び食害を確認したことがありますが、構築中蟻道の先端や被害部が水で濡れていたことから、水を持ち込んでいることが事実です。可能性としては湿らせた土を持ち込んだのではないかと考えられます。
建築の教科書では、乾燥がシロアリ対策であると記載されています。確かにシロアリが乾燥に弱いのは事実ですが、それはあくまで単体で裸のシロアリについての内容です。実際のシロアリは集団で行動し、乾燥から身を守るため蟻道を構築し、被害部を蟻土で覆います。蟻道や蟻土の内壁に防水層をつくることで、乾燥から身を守ります。どんなに乾燥した条件であっても、侵入さえすれば簡単に生息及び活動できるのです。
シロアリは人間が考えているよりも、多岐の環境に対応できる昆虫です。だからといって薬剤処理を薦めている訳ではなく、原則は構造的にシロアリが侵入し難い構造にするべきと考えます。そしてもう一つ重要なのは、点検調査ができる構造にすることです。点検調査が隅々までできれば、早期発見が可能となり、無駄な薬剤処理は不要なのです。リフォーム中に点検調査を行うのは、シロアリ駆除方法を策定するとともにどのような構造的工夫ができるかどうかアドバイスする意味もあるのです。多くにシロアリ防除業者は薬撒き屋ですが、当社は建物をシロアリから守るためのアドバイザー屋です。
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