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2023年3月31日 (金)

複合被害

シロアリとクロアリ、腐朽の複合被害 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。リフォーム中の物件でシロアリ対策として薬剤処理することが既に決まっており、事前の調査でお伺いしました。

元々は土壌が露出した構造だったものと考えられましたが、過去に土間コンクリートが打設されたようです。被害はその土間コンクリートと基礎の接点部分に蟻道が上がっている様子が、確認されました。それが右の写真です。

ちなみに蟻道はシロアリによるものではなく、おそらくトビイロケアリが構築した蟻道です。しかし被害部を見るとシロアリが構築した蟻道や被害が確認されています。腐朽も結構広がっていますので、雨漏れもあったものと考えられ複合的な被害と言えます。

現場監督さんは土間コンクリートが打設されているので、問題ないだろうと考えられていたため今回の被害は驚かれたようです。何故このような事例になるのかを説明し、ご理解いただきました。順次リフォームの進行に合わせて対策を実施する予定です。

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2023年3月30日 (木)

屋外からの侵入

床下で確認されたクロゴキブリ死骸 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。数年前からゴキブリを室内でよく見かけるようになったお施主さまから相談をいただいたとのことから、調査のためお伺いした次第です。

とりあえず外周を調査すると、特に問題となるところはありませんでした。ゴキブリがよく潜む家屋屋外にある排水桝がありますが、特に問題ありませんでした。床下側から点検調査を実施した結果、床下土壌表面にはクロゴキブリの死骸が多数確認されました。

クロゴキブリは屋外生息種で、屋外から家屋内に侵入します。屋外では明確は生息場所は確認できませんでした。この物件の隣が空地となっていることからお施主さまに聞き取り調査を行った結果、数年前に長らく空家となっていた築年数の古い家屋が取り壊しになったとのこと。恐らくこの家屋に生息していたクロゴキブリが取り壊しの際、隣家である当該物件に侵入、住み着いたものと考えられました。

クロゴキブリの場合、市販のゴキブリ用毒餌剤で十分対応は可能です。但し、使い方には幾つかのキモがありますので、これらをレクチャーさせていただきました。それでも目撃事例が減らない場合は、副次的効果を期待した防蟻処理が有効であることもご説明させていただきました。

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2023年3月29日 (水)

社内研修会

社内研修会講演 いつもお世話になっているハウスビルダーさんから社内研修会の講師依頼をいただき、昨日講演させていただきました。今回実施した研修会の題目は『住宅で確認される昆虫群とその対策』です。

家屋内外で確認される害虫は、木材害虫のシロアリやヒラタキクイムシ、不快害虫のクロアリやコバエ、食品害虫のコクヌストモドキやタバコシバンムシ、食菌性害虫のチャタテムシ、衛生害虫のゴキブリやダニ、蚊など広範囲の研修内容となりました。

リクエストのあったアフリカヒラタキクイムシやアメリカカンザイシロアリについては、その生態を少しですがご紹介させていただきました。シロアリ防除に関わる裁判判例など広範囲に渡る内容とさせていただきました。

害虫対策は何の薬剤を使用するのかではありません。害虫の種類を特定し、その害虫の生態から何故侵入や繁殖しているのかを調べることが絶対条件です。害虫と言えども生態系を形成していますので、特定の昆虫だけを駆除した場合に別の影響がでます。侵入理由や繁殖理由から、物理的対策や環境対策を組み合わせることが重要なのです。

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2023年3月28日 (火)

穴だらけ

穴だらけの土台 昨日はいつもお世話になっている建築士の先生からの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。リフォーム計画中の物件で、事前シロアリ調査が今回の案件です。

シロアリ調査の結果ですが、現時点でシロアリ被害、侵入及び生息は確認されませんでした。シロアリ侵入の兆候も確認されていませんので、定期的な点検調査で十分対応は可能と考えられました。勿論、部分的な薬剤処理も有効ですので、最終的は判断は建築士の先生とお施主さまに委ねたいと思います。

ちなみにこの物件では、薬剤処理跡が確認されました。お施主さまは以前この物件にお住いのご実家で、今回居住に合わせてリフォーム予定のこと。過去に実施されたシロアリ予防処理はご存じないとのことでした。

薬剤処理跡ですが右の写真のとおりで、土台に複数の穿孔処理跡が確認されています。土台に穿孔し、この孔に薬剤を注入するという訳ですが、薬剤は木材中に浸み込みません。これは実験で証明されており、穿孔箇所周辺の数ミリにしか浸透しないです。わざわざ穿孔するのは、如何にも仕事をしていますよというアピールにしか過ぎませんのでご注意ください。

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2023年3月27日 (月)

ハウスビルダー研修会資料作成

ハウスビルダー研修会資料 相も変わらず現場作業が飽和状態の中、今週火曜日に予定している研修会の資料づくりを同時進行しています。これまでに数回、社内研修会を実施したことがあるハウスビルダーさんの案件です。

依頼いただいた研修会の内容は、家屋周辺で発生する害虫に関するもので多岐に渡る内容です。室内でよく見かける害虫や建物屋外で見られる害虫、勿論その中にシロアリもあります。基本的には公共機関などに相談される内容をもとに、資料を作成しています。

講義は講義1時間+質疑応答30分の予定ですが、どう頑張ってもスライドは100枚を超えます。実際の現場で撮影した動画も準備しています。後でゆっくりと見て貰うスライドも準備していますので、きちんと説明が必要なところに時間を使っていきたいと思います。

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2023年3月26日 (日)

床束に構築された蟻道

床束に構築された蟻道 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、兵庫県内の物件にお伺いしました。畳の縁にシロアリの食害らしきものが確認されているとのことから、シロアリ調査で同行しました。

畳の縁で確認された被害はシロアリのよるもので、畳をあげると床板にシロアリ被害が確認されました。床下側から点検調査を実施した結果、広範囲に蟻道の構築や被害が確認されました。蟻道の一部を壊して確認したところ、ヤマトシロアリの活動が確認されました。

今回の物件の特徴として基礎面に蟻道の構築は1箇所しかなく、10数箇所の蟻道は束石から束柱にかけて確認されました。理由は不明ですが、過去に処理された薬剤が影響しているのではないかと考えられました。

今回の物件では、蟻道の一部を壊してシロアリの存在を確認しました。これは毎回実施する訳ではなく、蟻道の構築状況に合わせています。蟻道の本数が少なければ、蟻道は壊しません。この蟻道は駆除のために活用するため、壊さないのです。

コロニーの駆除を意識した処理を行わないのであれば、蟻道は幾らでも壊して構いません。薬剤を大量に散布し、シロアリを建物内から追い出せばよいのです。しかしこれではコロニーは駆除できていませんので、本当のシロアリ駆除ではありませんのでご注意ください。

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2023年3月25日 (土)

築25年以上

床下点検調査すべき箇所 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。リフォーム計画中の物件で、事前シロアリ調査依頼が今回の案件です。

床下構造ですが築25年以上経過したベタ基礎です。床下側から点検調査した結果、現時点でシロアリ被害、侵入及び生息は確認されませんでした。ベタ基礎ですのでシロアリが侵入し難い構造ですが、実際に侵入している事例もあります。写真は玄関上り框の裏にあたる部分ですが、このような箇所もベタ基礎での侵入が確認される場所です。これら以外も注意すべき場所は、幾つかあるのでこうした場所を丁寧に点検調査する必要があります。

お施主さまは築年数が25年を超えており、新築時にシロアリ対策を実施して以降何もしていないので薬剤処理は必須と考えておられたようです。25年以上シロアリが侵入していませんので、こらからも侵入するリスクは低いと考えられます。しかし侵入するリスクはゼロでないこと、どこかにクラックが発生すればシロアリは容易に侵入しますので定期的な点検調査されることをお薦めしました。

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2023年3月24日 (金)

対策打ち合わせ

新しい勝手口枠で確認されたシロアリ被害 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。リフォーム中の物件で、シロアリ被害らしきものが確認されているとのことから調査のためお伺いした次第です。

現場は長屋の一室で、築年数はかなり経過しています。多くの土台で腐朽が確認されており、土台の多くは交換予定とのことです。シロアリ被害の多くは古いものでしたが、どうやら過去に交換された勝手口枠にシロアリ被害が確認されました。比較的新しい被害でしたが、現時点でシロアリの姿が確認されませんでした。

このままシロアリ対策を実施せずリフォームした場合、再侵入のリスクが高いことから薬剤処理を推奨させていただきました。当該事例でもあるとおり、シロアリは古い木材よりも新しい木材を好みます。リフォーム後は新しい木材を使われており、特に注意が必要です。

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2023年3月23日 (木)

ブカブカした壁

ブカブカした壁に開いた穴 昨日は昨年シロアリ駆除でお世話になった、大阪府内の施設にお伺いしました。2階の部屋でイスを倒した際、壁に小さな穴が開いたとのこと。大工さんに見てもらったところ、この壁は少しブカブカするので、シロアリの可能性もあるため専門家に見て貰うことをお薦めされたそうです。

現場では養生テープで穴が塞がれていましたので、養生テープを剥がすと指1本分に穴が確認されました。中を除くと合板の一部が剥がれており、指を入れて確認すると指に木粉が付着してきました。木粉が大きければシバンムシ類の可能性が考えられましたが、木粉が非常に細かいことからヒラタキクイムシ類であると考えられました。

壁紙は昨年の秋に交換されたため、虫孔は確認されていません。室内側に死骸がないか確認しましたが、確認できませんでした。壁内側に被害が出ていることから、外来種ではなく在来種のヒラタキクイムシの可能性が高いものと考えました。

対策としては、被害材の撤去及び交換です。撤去の際には虫体死骸を採取し、同定したいと考えています。また被害材の状況を確認し撤去部分の指示を行いながら、必要に応じて薬剤処理を実施したいと考えています。

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2023年3月22日 (水)

捕虫紙検定

捕虫紙検定 右の写真は先日、愛知県内で実施したアフリカヒラタキクイムシ対策の際に持ち帰った捕虫紙です。小屋裏などに設置しているライトトラップで、捕虫ランプと捕虫紙を交換しています。捕虫紙の検定を行い、アフリカヒラタキクイムシの捕虫数及び天敵であるシロオビカッコウムシの捕虫数を計測しています。

アフリカヒラタキクイムシ対策では1年間の捕虫数の応じて、次年度の対策を立案します。アフリカヒラタキクイムシの捕獲数が多ければ薬剤処理を実施しますが、少ない場合は薬剤処理は実施せずモニタリングを継続します。これまでの結果から、薬剤処理後の傾向や捕虫結果から今後どうすべきかを適切に判断することが重要です。

薬剤処理も暗中模索で、小屋裏とはいえ家屋内で処理しますので安全性が最優先です。その中で如何に殺虫効果を引き出すかがポイントとなります。薬剤処理はベネフィットのために実施しますが、当然リスクがあることを考慮しながらそのリスクを如何に下げるかが重要です。ライトトラップによる捕虫も雌雄の交尾数を減らすことが期待できることから、僅かですが物理的対策の一つとなっています。

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2023年3月21日 (火)

ここにも蟻道が

土間コンクリートの切れ目で確認された群飛孔 昨日ご紹介した物件では、北側基礎面に蟻道が確認去れただけではありません。同じ北側ですが昨日ご紹介したのは北西側でしたが、北東側にある浴室でも蟻道が確認されました。そして厄介なのが、右の写真のとおりその浴室入口にあたる床下通気口で確認された空中蟻道です。

浴室の床下には土間コンクリートが打設されており、布基礎と土間コンクリートの接点部分の2箇所で蟻道の構築が確認されました。これは前回同様、土間コンクリートの過信による被害です。問題は写真の空中蟻道で浴室床下土間コンクリートの切れ目部分に確認されており、これは羽アリの出口である群飛孔です。何本も形成されていることから、数年前から毎年発生しているものと考えられます。

この物件では部分的に土間コンクリートが打設されていることと、換気口がしっかりと取られていることもあり通気性は非常に良好です。通気性がよく乾燥していれば、シロアリ対策にあると誤った考え方があります。先日のセミナーでもご紹介させていただきましたが、床下換気扇の横に伸びる蟻道、床下調湿材そのものを蟻道に使用している事例、床下調湿のために敷き込まれた不織布に入った竹炭や備長炭マットの表面に形成された蟻道などシロアリ対策にならない商材が販売されているのが現状です。

シロアリは蟻道を構築さえすれば、乾燥など取るに足りません。蟻道は内皮構造により湿気が逃げない構造で、乾燥から身を守ることができます。幾ら乾燥した床下を作っても、蟻道を構築されてしまえば、床下の乾燥は全く役に立たないことをご承知おきいただけましたら幸いです。

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2023年3月20日 (月)

土間コンクリートで確認された蟻道

土間コンクリートで確認された蟻道 右の写真は先日撤去されたウッドデッキのシロアリ駆除処理を実施した物件で、床下側から点検調査を実施した様子です。基礎面に蟻道が数本確認されています。

ウッドデッキは建物の南側にありましたが、床下で確認された蟻道は反対側に当たる北側の部屋の床下で、かつ北側に基礎面にありました。これはウッドデッキに被害を与えたコロニーと、この北側で確認された蟻道に関わるコロニーは全く違うものと判断されました。

問題はこの蟻道が形成された環境で、土間にはコンクリートが打設されています。床下がコンクリートである場合、一般の方は勿論、建築に関わるハウスビルダーさんや建築の先生などもシロアリが侵入できないと思い込んでおられるケースが多いようです。

しかし布基礎と土間コンクリートは化学反応で接着されている訳ではなく、物理的に接している状態です。ですので布基礎と土間コンクリートの接合部分には隙間があるため、シロアリが蟻道を構築して侵入するのです。ベタ基礎はコンクリートを一体化させて造りますので、隙間は原則としてありません。しかし継いでしまう構造にすると、その接合部から侵入するため注意は必要なのです。

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2023年3月19日 (日)

住宅医スクール2023

住宅医スクール2023 昨日は一般社団法人住宅医協会主催の住宅医スクール2023(第14期)で、講師を務めさせていただきました。講義は昨年に引き続き『防蟻対策の実務〜蟻害の事例から学ぶ、診断・対策のポイント』という内容で講演しました。コロナ禍前までは東京及び大阪を中心に、会場での聴講スタイルで開催されていました。しかしコロナ禍の影響で3年前は中止、2年前からオンラインでの講習となっています。配信は一般社団法人住宅医協会事務局フクマチヤ(大阪市福島区)からとなっており、お伺いした次第です。

講演内容は例年の内容を毎年修正加筆しています。講演内容の基本構成は『シロアリの種類と生態』、『シロアリ被害事例の紹介』、『シロアリ対策の方法』、『薬剤の種類と安全性』など多く詰め込んだ内容です。スクール聴講生が建築士の先生やハウスビルダーさんなので、シロアリ被害事例を多数紹介させていただき、シロアリがどこから侵入するかなどを説明させていただきました。

ベタ基礎でのシロアリ侵入事例、シロアリ対策の原則である構造的な工夫、床下調査のポイント、シロアリ駆除と予防はコンセプトが異なること、薬剤と安全性などを多岐に渡ってご説明させていただきました。内容が多岐に渡ること、質疑数が多いことから、例年より10分づつ延長となりましたが、それでも今年も大幅に延長となりました。それだけ興味を持って聴講いただいたことは、講師として感謝しかありません。

右の写真に写っておられるのは京都大の簗瀬先生で、小員の講演の前に『木材の劣化と対策~木材腐朽菌・害虫の生態』で講演されました。毎年ご一緒させていただいており、アフタースクールとしてYouTube撮影(住宅医協会HP)もしておりますのでご覧いただけましたら幸いです。

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2023年3月18日 (土)

ウッドデッキ撤去後のシロアリ対策

ウッドデッキ撤去後のシロアリ対策 昨日は住宅医セミナーを聴講いただいてからお付き合いのある建築士の先生からの依頼で、兵庫県内の物件にお伺いしました。ウッドデッキにシロアリ被害の確認された物件で一度ご相談をいただいており、打ち合わせを実施しウッドデッキ撤去後にシロアリ対策を実施しましょうとなりました。今回ウッドデッキの撤去が完了したことから、シロアリ対策でお伺いした次第です。

撤去された箇所を確認すると、写真のとおり勝手口ポーチ部分にも蟻道の構築が確認されています。また基礎面では換気口周辺でも蟻道の構築が確認され、被害範囲が比較的広いことから複数のコロニーがあるものと判断しました。

薬剤処理はコロニーの駆除に適した薬剤を、土壌灌注処理しました。ポイントは最適な薬剤濃度と処理量を、どこに処理するかです。大量に土壌灌注処理する方法もありますが、地下水や下水汚染につながりますので必要最小限の量で処理すべきと当社では考えています。シロアリの生態と薬剤の特性を理解すれば、大量の薬剤は必要ありません。

基礎面換気口周辺に蟻道が確認されていることから、床下側の点検調査は必須です。今回床下側の点検調査も実施していますので、別の機会にご紹介したいと思います。

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2023年3月17日 (金)

セミナー資料作成

住宅医スクールセミナー資料 現場作業の合間を縫って、今週末予定の住宅医スクールセミナー資料作成に勤しんでいました。事務局担当者さんからの資料送付依頼があり、昨日無事に資料を送付させていただきました。

演題は昨年と同じですが、事務局担当者さんの配慮により講演時間と質疑応答を10分づつ長く設定いただいています。しかし毎年、講義内容で端折る部分もあり時間不足は否めません。質疑応答時間も昨年までは10分でしたが、時間超過し30分を超えることも屡々です。

質疑応答が多いということは、それだけ興味を持って聴講いただいていることは非常に有難いことです。一つ一つ皆さんの疑問に答えられるよう、しっかりと準備したいと思います。

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2023年3月16日 (木)

再開

継続できなかったライトトラップ 昨日は前日に引き続き、愛知県内でのアフリカヒラタキクイムシ対策でした。継続的に実施している案件が殆どですが、中にはお施主さまの都合により昨年対策を実施できなかった物件があります。

この場合、ライトトラップのランプは消えた状態にあります。ライトトラップのランプは、条件さえよければ2年以上点灯している場合があります。しかしランプに誘虫効果は点灯直後から低下し、半年を過ぎる頃には大きく低下します。ランプ交換後の冬場には実質的な誘虫の効果はなくなり、翌年には交換が必須となります。

そのため昨年交換できなかった物件では、今年から再度ランプ交換となります。来年には捕虫紙の計測を行い、その捕獲数に応じて次年度の対策を立案します。そのため1度対策ができないと、その影響は計り知れないのです。

アフリカヒラタキクイムシは対策開始から10年以上経過しても発生が収まらないのが特徴です。対策が長期に渡る可能性があることをご理解いただくと共に、初期対応が最も重要であり素人療法が更なる長期化を招くことをご理解いただけますと幸いです。

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2023年3月15日 (水)

対策開始14年目

ライトトラップによるモニタリング 昨日はアフリカヒラタキクイムシ対策のため、愛知県内の物件にお伺いしました。昨年は諸般の事情によりハウスビルダーさんの手から離れて対応しましたが、今年から再度ハウスビルダーさんの案件となりました。

この物件では対策開始から14年目となりますが、元々はお施主さまからご相談をいただいた案件です。聞き取り調査及び現地調査のためお伺いした際には、フローリングに虫孔及び木粉(虫糞)が確認され、ハウスビルダーさんによってフローリングの交換が行われたとのことです。しかし室内での飛翔等が収まらず、家庭用燻蒸剤(バルサンやアースレッド等)で対応されたようですが一向に収まる気配がないとのことからご相談をいただいた次第です。

現地で虫体を同定した結果、在来種にヒラタキクイムシではなく外来種のアフリカヒラタキクイムシでした。お施主さまからご相談をいただいてから既に数年が経過したいましたので、実際にはアフリカヒラタキクイムシが発生してから17年以上経過していることとなります。

問題となる発生源ですが、恐らく新築時から確認されていたフローリングと考えられます。しかし、現在ではフローリングからの発生は確認されていません。モニタリング用としてライトトラップを設置しており、対策初年から数年間は2桁前半の捕獲数でした。対策から5年から急増し、年間で500匹を超える捕獲数となりました。ちなみに室内側での発生、虫孔やフラス(木粉)の堆積は確認されていません。この物件で急増した原因は建物構造にあり、土壁に小舞竹が大壁内部にあったことです。築年経過に伴い土壁にクラックが発生して小舞竹が露出、そこにアフリカヒラタキクイムシが産卵、繁殖したものと考えられました。

室内側にフローリングや合板であれば、化学的対策と物理的対策を組み合わせることでかなりの確率で抑え込むことができます。しかし大壁構造内の土壁にある小舞竹は直接的な対策は不可能です。ライトトラップでモニタリングしながら、薬剤処理で現状は対応しています。これまでに薬剤の種類や処理方法など何度かアップデートしてきており、昨年の処理評価であるモニタリング結果では比較的良好な結果となりました。今年も継続して実施していますので、来年の結果が少し楽しみです。

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2023年3月14日 (火)

2022年度確定申告完了

2022年度確定申告完了 例年のごとく今年もなんとか無事に確定申告が完了しました。案件が重複しデスクに座る時間が減る中、会計ソフトへの入力を深夜まで対応し、殆どの伝票入力を1日で完了しました。締め切り日までまだ数日ありましたが、出張予定のため資料を整えe-TaxのID・パスワード方式で提出しました。


新型コロナウイルス感染症のマスク着用は個人の判断となりましたが、経済活動面ではまだまだ問題を抱えています。色々なものが値上げとなる中、税金を使う議員さんや役人さんには上手に活用いただき、無駄使いせず日本経済の立て直しをお願いしたいところです。


現場作業にも追われていますが、セミナーの資料づくり、提案書作成など案件が山積み状態です。上手く時間を創出しながら対応したいと思います。

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2023年3月13日 (月)

穿孔注入処理跡がありますが

穿孔注入処理跡がありますが蟻道の構築が確認されています 確定申告の締め切りが近づくとともに、研修会の資料作成に追われた状態となっています。そこで本日は先日シロアリ調査でお伺いした現場で撮影した1枚をご紹介したいと思います。

シロアリ被害が確認されたのは玄関枠で、補修のため張り付けられた木材の上部に蟻道の構築が確認されています。以前お施主さまがこの蟻道を剥がした際シロアリの活動が確認されていたとのことです。

写真がその被害部で写真の上部に蟻道の伊津部が確認されるとともに、蟻道を剥がした跡も確認されています。特筆すべきは玄関枠の下部で、穿孔注入処理跡が確認されています。これは一般的なシロアリ防除業者が実施する方法で、柱に穴をあけその穴に薬剤を注入します。一見すると木材内部に薬剤が浸み込んで行きそうに思いますが、実際には浸み込みません。

この処理はシロアリ駆除のための処理ではありません。シロアリのコロニーがある場所を意識して、使用する薬剤の種類や濃度、使用量を最適化して処理しなければなりません。それができないと地中にあるコロニーは駆除できていない状態となり、薬剤の残効性の消失に伴い再侵入します。当該事例はその典型的なものであり、マニュアルに従った結果、シロアリ駆除ができていないということになりますので注意が必要です。

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2023年3月12日 (日)

外壁に構築された蟻道

外壁に構築された蟻道 右の写真は、先日シロアリ調査でお伺いした物件で撮影した1枚です。外壁部分の上部にまで蟻道が構築されています。

この物件で確認されているシロアリは、全国各地で一般的に生息が確認されているヤマトシロアリです。シロアリでよく耳にする通説として、シロアリは明るい場所を嫌うだの乾燥した場所では弱いなどを聞きます。傾向的にはありますが、決して明るいや乾燥した場所で活動が確認されない訳ではありません。

シロアリは蟻道を構築する昆虫で、その蟻道には幾つかの役目があります。蟻道を構築することで、外敵の侵入を防ぎます。また蟻道内部は密封され内皮構造が防水構造となっていますので、蟻道内部は光の侵入を防ぐとともに高湿度状態に保たれます。すなわち蟻道さえ構築すれば、光や感想など何の問題もありません。

これを理解せず床下を乾燥させればシロアリ対策になると主張される方が出てきて、床下が乾燥している家を建てたのでシロアリに襲われることはないと主張される建築関係者や、いかがわしい商品を売りつけたりする業者が現れるので注意が必要です。

ちなみにこの物件では数年前に外壁でシロアリの兆候(蟻道跡)を確認したことから、ご相談をいただいています。その際、できるだけ早いうちに床下の点検調査をお薦めしています。床下の点検調査は薬剤を撒く前提で実施するのではなく、現状把握が目的です。シロアリの侵入や被害があれば対応する必要がありますが、侵入や被害がなければ何もしなくて良いのです。

今回の事例では屋外の被害とともに床下側で被害が確認されましたが、屋外に被害があっても床下に被害がない事例は多数あります。床下に被害がない事例で継続的に定期的な点検調査を実施していますが、ほぼ床下側への侵入が確認されていません。床下に被害がないのに屋外に被害があるからといって、床下に大量の薬剤を撒いて高額な費用が発生するのはいかがなものでしょうか。

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2023年3月11日 (土)

薬剤の使い分け

大量のワクモの死骸 昨日はいつもお世話になっている住宅管理会社さんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。昨日ご紹介した案件で、ワクモが大量発生している物件での駆除処理です。

前回調査時に緊急対応としてベランダ側の窓枠に、薬剤処理を施しました。それが右の写真で、ワクモの死骸が大量に溜まった状態となっています。生息密度が非常に高く、大発生している状況です。

今回薬剤処理として、室内側ち併せてベランダ及び天井裏に対して処理を行いました。処理場所に合わせて薬剤の使い分けを行っています。室内側では安全性に注意し天井裏では処理効率を、ベランダ側では効果を優先して処理を実施しました。

住宅管理会社さんには、早急な時期にベランダの消毒及び清掃、防虫ネットの再施工をお薦めさせていただきました。

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2023年3月10日 (金)

施工不良が原因

ベランダで確認された大量のハトの糞 右の写真は、先日害虫調査でお伺いした物件で撮影した1枚です。マンションの1室で室内に小さな虫が確認されると、いつもお世話になっている住宅管理会社さんからご連絡をいただき調査にお伺いしました。

マンションの1室とありますが、事務所として使用されている物件です。小さな虫が窓際で確認されているとのことから、粘着テープで捕獲し携帯型顕微鏡で確認するとワクモでした。吸血して赤く染まった個体が多く確認されました。

ワクモは鳥類などを宿主とするダニの仲間で、人にも危害を加える種類のダニです。問題はこの部屋のベランダで、大量にハトの糞が確認されました。防鳥ネットが張られているのですが、隙間がありベランダ内に侵入しているようです。調査当日もベランダ内に侵入しているハトやネットの留まっているハトが複数確認されました。

このハトがワクモの宿主であることは明白で、防鳥ネットの施工不良が原因です。ワクモに対する対策も急務ですが、ハト対策や病原菌対策も必須です。住宅管理会社さんと相談しながら、早急に対応したいと思います。

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2023年3月 9日 (木)

啓蟄が過ぎ

蟻道内で活動中のヤマトシロアリ 昨日は、弊社阪神ターマイトラボのウェブサイトを見てお問い合わせいただいた物件にお伺いしました。京都府内の物件で、畳に被害が確認されたことから畳を上げたところ床板に甚大な被害が確認された案件です。

床下側から点検調査を実施した結果、広範囲にシロアリが構築した蟻道及びシロアリ被害が確認されました。過去にシロアリ防除処理が実施された形跡はなく、長期間シロアリの侵入に晒された状態にあったものと判断されました。

蟻道の一部を壊して確認した結果、活動中のヤマトシロアリを確認しました。動きはまだまだ鈍いものの、啓蟄が過ぎていますので今後活動が活発になるものと考えられます。

シロアリ調査報告書及び対策提案書、見積書を作成する予定ですが、当該物件は賃貸物件とのこと。オーナーさまがどこまで納得いただいて、シロアリ対策を実施して貰えるかがポイントとなりそうです。

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2023年3月 8日 (水)

過去にシロアリ防除処理されていますが

雪見障子のシロアリ被害 昨日はいつもお世話になっている設計事務所の先生からの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。築70年を超えるリフォーム計画中の物件で、雪見障子や広縁に被害が確認されているとのことからシロアリ調査で同行しました。

写真は雪見障子のシロアリ被害で、隣接する畳や広縁にもシロアリ被害が確認されています。床下側から点検調査を実施した結果、当該箇所の床下側では被害等確認されませんでした。広縁側からの点検調査では広縁の根太等に被害が確認され、侵入方向を辿ると犬走のクラック部分に蟻道の噴き出しがありました。

これが侵入経路で基礎化粧モルタルの内部をとおり広縁に被害を与えるとともに、根太を水平方法に移動して雪見障子に到達したものと考えられました。そのため、土台には一切被害が確認されていない状態となっています。

これ以外に玄関枠に被害及び蟻道が確認されるとともに、床下の一部で蟻道の構築が確認されました。過去にシロアリ防除処理されていたようで、土台には無数の穿孔処理跡が確認されました。お施主さまからの聞き取り調査では、かなり以前にシロアリ防除処理を実施したとのことでした。

一般的なシロアリ防除処理は薬剤大量散布で、空爆するかの如く薬剤をまき散らします。薬剤によってシロアリが侵入できない状態を作り上げますが、シロアリのコロニーを的確に駆除する処理ではありません。そのため薬剤の残効性が消失すると、シロアリは当該事例のように再侵入します。ですのでシロアリ防除業者は薬剤の効果が切れるので保証期間が過ぎれば、薬剤の再処理を勧めるのです。上手く儲けるための仕組みと言えるでしょう。

当社ではシロアリ駆除をベースとしたシロアリ対策を実施していますので、5年が経過したからといって薬剤の再処理は薦めません。地中にあるシロアリのコロニーは駆除できているので、これまでの事例を見ても再侵入はよほどのことがない限り侵入しないのです。ですので薬剤処理ではなく、安全で安価な定期的な点検調査を薦めるのが当社のスタイルです。

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2023年3月 7日 (火)

壁内で確認された被害

壁内で確認された被害 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内でリフォーム中の現場にお伺いしました。撤去した壁の中の柱に被害があるので、確認して欲しいとのことからお伺いした次第です。

被害は右の写真で雨漏れに伴う腐朽が中心ですが、よく見ると蟻道も確認されています。このようなケースで注意が必要なのは、蟻道がシロアリが形成したものなのかクロアリによるものなかを見極めることです。両者の蟻道は似通っており、一般の方では中々判断し難いようです。

シロアリの場合、多くの蟻道は内皮構造を持ちます。外気の乾燥から身を守るため、内皮構造を形成することで蟻道内部の水分を屋外に放出することなく高湿度状態を保つことができます。蟻道さえ構築できれば、乾燥などシロアリ対策ではありません。乾燥をシロアリ対策を顕示されるかたは、シロアリの本質を理解していないと言えます。

クロアリの場合、トビイロケアリやクサアリの仲間も蟻道を構築します。しかし内皮構造がなく、蟻道そのものが非常に脆いという違いがあります。ちなみにこの物件では、蟻道に内皮構造がなく脆いことからクロアリの蟻道と判断しました。

この後シロアリ対策を実施するか否かは、お施主さまとハウスビルダーさんの協議によって決まります。その結果次第で、シロアリ対策を実施することになるかもしれません。

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2023年3月 6日 (月)

侵入する条件は揃っていますが

シロアリ未侵入の床下 昨日ご紹介した物件は戦前からの長屋で、3住戸が繋がっています。そのため床下も繋がっており点検調査が可能だったことから、点検調査を実施しました。

床のブカブカしていた住戸ではシロアリ被害が広範囲に確認されましたが、当該住戸以外ではシロアリ被害が確認されませんでした。床下の通気性が悪く、カビの発生も確認されました。構造的に地面と床組が接している箇所もあり、シロアリの侵入する条件は揃っています。

条件が揃っているからと言って、シロアリが必ず侵入するとは限りません。そもそも地中にシロアリが生息していなければ、侵入がないのは当然です。地中にシロアリが生息していたとしても、地中に餌である枯死した木があれば、わざわざリスクのある床下の木を食餌しにくることはありません。

ですのでこの物件では、被害の確認された住戸のみ薬剤処理を実施することを提案しています。シロアリ被害のない住戸については、定期的な点検調査で十分対応であることを説明しています。70年間も被害のなかったところに侵入する可能性はゼロとは言い切れませんが、限りなくゼロに近いのです。限りなくゼロに近いのに、薬剤を撒くのはナンセンスであり、無駄使いと小員は思います。

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2023年3月 5日 (日)

姿は確認できませんが

被害の確認された床束 昨日はいつもお世話になっている住宅管理会社さんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。賃貸物件で入居者さまから床がブカブカするとのことから、床下側から点検調査を実施することとなりお伺いした次第です。

築70年を超える家屋で床下側から点検調査を実施した結果、広範囲にシロアリ被害が確認されました。シロアリの姿は確認できませんが、かなり新しい被害もあるため季節的要因により地中に戻っているものと考えられました。

床のブカブカしている箇所ですが、床束から大引にかけてシロアリ被害が確認されました。年代が古く根太も丸太から切り出したものであり、元々強度的に弱かったものが大引に被害を受けることによりたわみが発生したものと考えられました。

いずれにしてもシロアリ対策は必須ですが、薬剤の大量散布は必要ありません。必要な場所に適切な薬剤を適量処理することで十分対応が可能です。無駄に薬剤を撒いて、必要以上の金額を発生させる必要は一つもありません。

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2023年3月 4日 (土)

セミナー資料作成

セミナー資料用写真 現場作業と並行しながら、経理作業と研修会資料の作成を行っています。研修会は2つ予定しており、その一つは一般社団法人住宅医協会さんから依頼いただいた住宅医スクール2023です。2013年から継続的に講師をさせていただいています。

講演内容は昨年に引き続き『防蟻対策の実務〜蟻害事例から学ぶ診断・対策のポイント』です。実際の現場でのシロアリ蟻害事例から調査診断のポイント、シロアリの生態から考えるシロアリ対策、駆除処理や予防処理の実例、シロアリ防除用薬剤など多岐に渡る内容を予定しています。そのため現場で撮影した写真を使って講演を行いますが、年間で数万枚を撮影しますのでそれを確認する作業から行う必要があります。

聴講される方が建築士の先生などが多いため、机上で勉強されたシロアリの生態と実際の現場との乖離をお伝えできればと考えています。ちなみに写真はシロアリ被害を受けた、玄関袖壁の内部です。表面上に被害がなかったものの、少し離れた場所で被害の確認された事例です。

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2023年3月 3日 (金)

侵入防止処理

シロアリ侵入防止処理 昨日はいつもお世話になっているハウスビルダーさんからの依頼で、大阪府内の物件にお伺いしました。リフォーム中の物件で先月床の撤去が終わった段階でシロアリ調査を実施しており、シロアリ被害跡を確認しています。

薬剤を使用せず定期的な点検調査で対応することも可能ですが、お施主さまの要望で薬剤処理を施すこととなりました。その背景としては、過去に羽アリが大量発生したことがトラウマとのことです。

薬剤処理はシロアリの侵入経路と活動場所の想定される箇所に施しました。薬剤の使用量は協会仕様書の使用量と比べると、大幅に少なくなっています。薬剤は意味のないところに撒くのは無駄で、必要なところへ処理するのがプロの仕事だと思います。大量に使用すれば費用も高額になる上、薬剤曝露リスクも上がりますのでお薦めできません。

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2023年3月 2日 (木)

薬剤処理予定

シロアリ被害の確認されない床下 右の写真は、先日シロアリ調査でお伺いした物件で撮影した1枚です。リフォーム中の物件で、いつもお世話になっているハウスビルダーさんの案件です。

比較的建築年数の経過した物件で、離れにはシロアリ被害が確認されています。母屋ですが、大半は床が撤去された状態ですが、一部床を撤去しない部分があるとのことから床下側から点検調査を実施しました。

現時点でシロアリ被害、侵入及び生息は確認されませんでした。床下の臭いや築年数を考慮すると、有機塩素系の薬剤が使用されていたものと考えられました。有機塩素系薬剤は、成分投下量が極めて多いことと分解しないことから効果が持続しているものと考えられました。

結論的には母屋でのシロアリ対策として、定期的な点検調査で十分対応可能と考えられました。しかし離れの被害を確認されたお施主さまとハウスビルダーさんは、母屋も薬剤処理を希望されていました。薬剤処理も一つの手段であり、工夫し薬剤使用量を減らしながらもきちんと効果の得られる処理方法で対応する予定です。

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2023年3月 1日 (水)

2023年3月度ウェブサイト更新

阪神ターマイトラボWebsite2303TP画像 今月も阪神ターマイトラボのウェブサイトを更新しました。今回のトップページ画像は、蟻道内で活動するヤマトシロアリで、蟻道を登る先頭ではニンフ(擬蛹)です。

ニンフは羽アリ(有翅虫)になる前の階級で、職蟻が脱皮してニンフとなります。職蟻の全てがニンフになる訳ではなく、コロニーの中でもニンフになるのは一部です。ですので羽アリのなる数も、コロニーからすると少なくなっています。実際には数百頭の羽アリが発生する場合があることから、コロニー内の数は非常に多く数万頭が生息していることはよくあります。

ニンフは3月後半から4月の中旬にかけて羽アリとなり、一定期間コロニー内やその周辺で活動します。羽アリが外に出るタイミングが来ると、一斉に外に出ます。正午前後に羽アリが発生するのは、光に向かって飛び出すのが理由です。ヤマトシロアリの羽アリは光を嫌うと主張するシロアリ防除業者があるようですが、シロアリの生態を根本的に理解している典型的な事例です。

ヤマトシロアリの羽アリは光に集まる性質(正の走光性)を有していますので、暗い部屋では明かりを求めて集まります。ただし翅を落とすと光を嫌う性質(府の走光性)となり、暗い隙間に入り込みます。そこで雌雄が交尾し、条件が揃えば繁殖となります。

シロアリが生息していると、必ず羽アリが発生するとは限りません。餌が豊富にあり、シロアリにストレスがかからない状態では羽アリを発生させる要因がありません。羽アリが発生する要因としては、コロニーが成熟するか生息環境が悪いかなどが挙げられます。また羽アリが発生していても、気付かない事例もあります。羽アリは必ず室内で発生するとは限らず、床下で発生した場合など床下換気口から出ていきますので発生がわからにケースもあります。

この物件でもシロアリ対策を実施せず放置すれば、今年も羽アリが発生するものと考えられます。シロアリ調査によってどのような処理が必要なのか対策を立案し、有効性のある対策を講じることが重要です。一般的には薬剤大量散布による対策が取られますが、当社では必要最小限の薬剤量でシロアリ対策を実施します。当社のシロアリ駆除及び対策については、阪神ターマイトラボのホームページをご参考ください。

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