« 薬剤の使い分け | トップページ | 穿孔注入処理跡がありますが »

2023年3月12日 (日)

外壁に構築された蟻道

外壁に構築された蟻道 右の写真は、先日シロアリ調査でお伺いした物件で撮影した1枚です。外壁部分の上部にまで蟻道が構築されています。

この物件で確認されているシロアリは、全国各地で一般的に生息が確認されているヤマトシロアリです。シロアリでよく耳にする通説として、シロアリは明るい場所を嫌うだの乾燥した場所では弱いなどを聞きます。傾向的にはありますが、決して明るいや乾燥した場所で活動が確認されない訳ではありません。

シロアリは蟻道を構築する昆虫で、その蟻道には幾つかの役目があります。蟻道を構築することで、外敵の侵入を防ぎます。また蟻道内部は密封され内皮構造が防水構造となっていますので、蟻道内部は光の侵入を防ぐとともに高湿度状態に保たれます。すなわち蟻道さえ構築すれば、光や感想など何の問題もありません。

これを理解せず床下を乾燥させればシロアリ対策になると主張される方が出てきて、床下が乾燥している家を建てたのでシロアリに襲われることはないと主張される建築関係者や、いかがわしい商品を売りつけたりする業者が現れるので注意が必要です。

ちなみにこの物件では数年前に外壁でシロアリの兆候(蟻道跡)を確認したことから、ご相談をいただいています。その際、できるだけ早いうちに床下の点検調査をお薦めしています。床下の点検調査は薬剤を撒く前提で実施するのではなく、現状把握が目的です。シロアリの侵入や被害があれば対応する必要がありますが、侵入や被害がなければ何もしなくて良いのです。

今回の事例では屋外の被害とともに床下側で被害が確認されましたが、屋外に被害があっても床下に被害がない事例は多数あります。床下に被害がない事例で継続的に定期的な点検調査を実施していますが、ほぼ床下側への侵入が確認されていません。床下に被害がないのに屋外に被害があるからといって、床下に大量の薬剤を撒いて高額な費用が発生するのはいかがなものでしょうか。

|

« 薬剤の使い分け | トップページ | 穿孔注入処理跡がありますが »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 薬剤の使い分け | トップページ | 穿孔注入処理跡がありますが »