同定
右の写真は先日、クロアリが室内で徘徊しているとご相談をいただいた物件で捕獲した死骸です。兵庫県内にある新築物件で、洗面や廊下などで徘徊しているとのことです。
お伺いした日ですが、残念ながらクロアリの徘徊は確認されませんでした。掃除が行き届いていましたが、幸いにも死骸を捕獲することができました。一部が潰れており、頭部のなかったため同定には時間を要しました。
日本には200種類以上のクロアリが生息しており、同定は簡単ではありません。腹柄の数、腹部末端の形状、頭部複眼の形状、大顎の形状、気門の位置や形状など詳しく観察する必要があります。複数匹捕獲できるとこれら形状の確認は見やすい個体で可能ですが、潰れた個体の場合非常に時間を要します。
結果的にこのクロアリはトビイロケアリで、室内侵入種としては一般的によく見られる種です。簡易顕微鏡では腹節に刺があるように見えたのですが、押し潰された部分が刺のように見えたことが原因でした。木材腐朽部に営巣する種ですので、在来工法の浴室壁内や土台などで営巣する場面をよく見ます。しかし今回の事例は新築物件ですので、営巣はないと判断できます。外部からの侵入ですが、乾燥が行き届いた家屋でもたまに見ます。理由はわかりませんが、侵入する条件が何か重ねっているのかもしれませんね。
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