2024年3月22日 (金)

セミナー聴講

セミナー聴講 昨日は、防虫コンサルティング商社さんが開催するセミナーを聴講しました。一昨年の秋に聴講して以来で、興味のある内容があったことから時間を都合して聴講させていただきました。

演題は『知れば知るほど面白い!シロアリの秘密』です。結論的にはあまり目新しいものはなく、シロアリ防除業者と名乗るのであれば当然知っておくべきシロアリの生態だと感じました。

以前はもう少し凝った内容の講義があったのですが、年に2回もされていると中身が薄くなってくるのは仕方ないところですね。他の講義は興味があったのですが、時間的に聴講できる余裕はありませんでした。但し、資料はいただいたので基礎知識として非常に参考となりました。

一昨年の秋の講義では、学芸員さんによる講演がありました。専門家による生態の話しは非常にわかりやすく参考になりましたので、こうした内容が聴講できると有難いですね。

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2024年3月20日 (水)

ベタ基礎

ベタ基礎表面から立ち上がる空中蟻道 本日も住宅医スクールでいただいたご質問に対して、ご紹介させていただきます。写真でご紹介させていただいたのは、ベタ基礎の表面から立ち上がる空中蟻道です。この空中蟻道は羽アリの出口である群飛孔です。

シロアリがベタ基礎を穿孔したと判断されますが、恐らくベタ基礎に気泡が入り弱くなっていた部分を穿孔したものと考えられました。実際の対策としては、この侵入経路に対して数百ミリリットルの薬剤を流し込んでいます。当該箇所以外には薬剤処理を実施しておらず、その後の点検調査でシロアリの侵入や被害のないことを確認しています。

当該事例では床下で羽アリが発生しているものと考えられますが、定着及び繁殖する可能性はないと断言できるレベルです。そのため、全面への薬剤処理を実施していないのです。適切にシロアリ駆除を行えば、ベタ基礎全面への薬剤処理は不要です。

但し、適切なシロアリ駆除ができるか否かは作業者のレベルによります。全てのシロアリ防除業者にシロアリ駆除能力がある訳ではないので、ご注意ください。

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2024年3月19日 (火)

ホウ酸製剤

ホウ酸製剤でのシロアリ駆除は極めて困難です 昨日に引き続き、住宅医スクールの際にいただいたご質問についてご紹介したいと思います。スクールで出た質問として『ホウ酸製剤は土壌処理可能でしょうか』という内容です。

ホウ酸製剤は食毒剤ですので、シロアリが体内に取り込むことで効果が発揮されます。そのため、シロアリの齧る対象である木材に対して処理するのが基本です。ですので齧らない土やコンクリートに対して、効果が得られないことは言うまでもありません。

体表面に付着したホウ酸をグルーミングで体内に取り込むのではないかと主張されるかたもおられるようですが、シロアリを用いた実験では有意性のある効果は得られませんでした。

齧る意味からすると断熱材への散布が効果があるのではと考えられますが、実際には齧っても体内に取り込まず吐き出すケースが殆どですのでこちらも有意性のある効果は得られません。

ちなみに右の写真はシロアリ被害の確認された床板に、お施主さまがホウ酸製剤を塗布されたそうです。おそらく規定量の2倍以上は塗布しているとのことですが、大引や根太などでは今もシロアリは活動中です。

ホウ酸製剤が処理された木材をシロアリが齧り、体内に取り込まれることでシロアリは死に至ります。その死んでいくシロアリを見て、他のシロアリはホウ酸製剤が処理された木材を食べなくなります。ホウ酸製剤は木材を守ることであり、その意味では有効性のある薬剤です。特に新築場面では建築後に処理できない箇所まで処理できるため、長期に渡る防蟻効果は有効です。

但し、シロアリ駆除効果には適してはいない効果発現方法となっています。勿論、ホウ酸製剤の特性とシロアリの生態、建物構造を理解した上で処理すればシロアリ駆除は可能です。しかしそれであれば多少なりとも毒性のあるホウ酸ではなく、他の材料を使用して対処するほうが理にかなっているのです。シロアリ駆除は薬剤で駆除するのではなく、現場での調査結果から総合的に判断して、最良の策を模索するのがシロアリ技術者なのです。薬剤大量散布する人間は、シロアリ技術者ではないのでご注意ください。

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2024年3月18日 (月)

点検サイクル

きちんと駆除できれば全面処理は不要です 昨日ご紹介した住宅医スクールで行った講義に対して、ご質問をいただきました。『定期的な点検調査をお薦めされていますが、どのようなサイクルで点検調査されるのがよいのでしょうか』というご質問でした。

写真はシロアリ被害の確認された床下で、シロアリ駆除処理を実施しています。8帖程度の床下ですが、複数の蟻道が立ち上がり、被害が比較的大きかった案件です。ちなみに被害はこの部屋だけで、他には被害は確認されていません。ですので、この床下のみ駆除処理を実施、他の部屋の床下には全く薬剤処理をしていません。

この物件では10年以上経過した昨年に、点検調査を行いました。シロアリの侵入や新たな被害は確認されませんでした。正しいシロアリ駆除処理を実施した場合、そうそうシロアリは侵入しないことを表しています。

この結果からすると10年毎でよいかと考えがちですが、当社では強要していません。お施主さまの意見を尊重しており、お施主さまからの要望に応じて実施しています。点検調査の意味からすれば毎年点検が理想ですが、コストを考慮するともう少し間隔をあけてもよいと思います。

ちなみにお施主さまから何年毎がよいかとご質問をいただいた場合、土壌の露出した床下や土間コンクリートの床下は2~3年おき、ベタ基礎では5年が目安とご紹介しています。2~3年であればシロアリが侵入しても被害は軽微で、十分対応可能です。ベタ基礎なので点検調査は不要と考えておられるかたもおられるようですが、ベタ基礎でも侵入事例はあります。また、床下で排水系から水漏れしていたこともありますので、床下の健康診断とお考えいただければ幸いです。

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2024年3月17日 (日)

住宅医スクール2024

住宅医スクール2024 昨日は一般社団法人住宅医協会主催の住宅医スクール2024(第15期)で、講師を務めさせていただきました。講義は『木材劣化の基礎と対策② シロアリの生態と蟻害の事例、防蟻対策』という題目ですが、講義内容については昨年と大きく変化はありません。主として現場での写真を何枚か入れ替えさせていただきました。


実際の現場でのシロアリ蟻害事例から調査診断のポイント、シロアリの生態から考えるシロアリ対策、駆除処理や予防処理の実例、シロアリ防除用薬剤など多岐に渡る内容で講演させていただきました。スクール聴講生が建築士の先生やハウスビルダーさんなので、シロアリ被害事例を多数紹介させていただき、シロアリがどこから侵入するかなどを中心におこないました。


ちなみに一講義前は『木材劣化の基礎と対策① 木材腐朽菌・乾材害虫の生態と対策』を昨年同様、京大大学院簗瀬准教授が講演されました。コロナ禍前までは東京及び大阪を中心に全国各地会場で開催、受講生が聴講するスタイルでした。しかしコロナ禍により4年前は中止、3年前からZOOMを用い、配信は一般社団法人住宅医協会事務局フクマチヤ(大阪市福島区)からのオンラインでの講習となっています。


ベタ基礎でのシロアリ侵入事例、シロアリ対策の原則である構造的な対応、床下調査のポイント、シロアリ駆除と予防は異なるコンセプトであること、薬剤と安全性などを多岐に渡ってご説明させていただきました。今年も質疑数が多く、熱心に聴講いただいたことに感謝しかありません。


写真の左側に写っておられるのは京都大大学院の簗瀬先生で、講義後の懇親会ではスタッフの皆さんと意見交換などをさせていただきました。また今年もアフタースクールとしてYouTube撮影(住宅医協会HP)もしておりますので、ご覧いただけましたら幸いです。

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2024年2月28日 (水)

24年度ブリングセミナー聴講

24年度ブリングセミナー 昨日はイエシロアリ駆除用ベイトシステムを開発販売されている廣瀬産業さんの、ブリングセミナーを聴講しました。コロナ禍もあり、4年振りに開催されたことから聴講しました。イエシロアリ駆除用ベイトブリングシステムの現場での実例紹介のほか、イエシロアリの生態や知見、特に力を入れておられるYouTubeなどが紹介されました。

イエシロアリの生態を考慮して開発されたイエシロアリ駆除用ベイトシステムですが、やはり使い方がポイントです。どうすれば喫食が上がるかなど、使用上のポイントを現場での実例を交えて説明いただきました。

薬剤メーカーが行う商品紹介セミナーでは、セールスポイントの紹介が中心です。良いことばかり言われますが、欠点は紹介しません。欠点を言うと売れなくなってしまうことが理由でしょうが、小員が薬剤メーカー勤務時代は敢えて欠点を紹介していました。欠点をどのような使い方で対応するかをきちんと説明するのが小員のスタイルでした。廣瀬産業さんも同じ考えのところが共感できるところで、使い方のポイントを説明してくれるところが重要です。

シロアリに関するYouTubeへの取り組みも非常に評価のできるものです。教科書で得られる知識は必ず正しい訳ではなく、実際の目で見た事実を経験として捉え次のステージにフィードバックすることが重要です。そういう意味でも、映像として情報提供して貰えるのは非常に勉強になります。廣瀬産業さんのセミナーは、技術者として必要なスキルを磨くことができるため今後も参加させていただきたいと思います。

今回のセミナーではシロアリフォーラムメンバーである、オヤシロアリ技研の尾屋さんやヤマト白蟻研究所の波田さんとも会い情報交換できました。薬剤メーカーさんとも情報交換できたので、非常に有意義なセミナーでした。

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2024年2月21日 (水)

案件過密

ベタ基礎でのシロアリ被害 ここ数日は現場作業を制限し、事務所での業務が続いています。報告書や請求書が未提出の案件、確定申告のための経理業務、住宅医スクールの資料作成と多くの案件を抱えた状態です。

その中でも最も近い期限として住宅医スクールがあり、3月8日までに資料作成を完了、送付しなければなりません。受講される皆さんには、シロアリに対する正しい認識をしていただければと考えています。

その中でもベタ基礎とシロアリに対する認識を理解いただければと、毎回ご紹介する内容が右の写真です。ベタ基礎構造+ネコ土台+加圧注入土台と完ぺきなシロアリ対策のように見えますが、床板と断熱材の間にシロアリが侵入して被害を与えています。

ちなみにこの案件では、シロアリ駆除処理として施工液量として、500ミリリットルを使用しました。既に10年以上経過していますが、シロアリの再発はありません。ちなみにベタ基礎ですので、予防処理は全く実施していませんがシロアリの侵入はないのです。

シロアリが侵入する箇所には必ず理由があります。その理由から、どのような処理をすればよいかを考えるのがシロアリ技術者です。本当のシロアリ技術者は、薬剤の大量散布は行いません。シロアリ駆除と予防(侵入防止)は分けて考えるべきであることを、きちんと説明していきたいと思います。

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2024年2月14日 (水)

資料作成中

住宅医スクール・オンライン2024【木材劣化】 来月、3月16日には住宅医スクールで講義の講師を予定しています。講義内容は『木材劣化の基礎と対策②』[シロアリの生態と蟻害の事例、防蟻対策]でオンライン(ライブ+オンデマンド視聴)の開催です。

先日、事務局さんから講演準備のお願いの連絡をいただきました。同日に講演される第一講義は、京都大学大学院農学研究科准教授簗瀬先生による『木材劣化の基礎と対策①』[木材腐朽菌・乾材害虫の生態と対策]となっています小員の講義、簗瀬先生の講義のいずれも特徴的なのが、質疑応答の多さです。その他の講義では計2時間のうち質疑応答が10分であるのに対し、木材劣化に関するこれら講義は質疑応答が20分となっています。

それでも毎回、質疑応答時間がオーバーして時間超過するのが恒例です。質疑応答を20分にしている関係で、講義時間が100分となります。シロアリに関する講義で100分は圧倒的に少なく、どこまで多岐に渡る内容を押し込めるかがポイントです。

2013年から講師をさせていただいておりますが、毎年モディファイを繰り返してきています。2013年の資料を見返すとかなり内容が違ってきてはいますが、時代の趨勢には合っているのではないかと考えています。

いずれにしても、良い資料を提供できるよう資料作成中です。個人情報観点から、配布資料と講義資料に差があるところは致し方ありません。それでもよい家づくりのお手伝いができればと考えています。なお住宅医スクールの詳細は一般社団法人住宅医協会の住宅医スクール2024をご参考ください。

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2024年1月 6日 (土)

研修会資料作成

研修会用資料 年末年始は現場作業が少し落ち着きを見せる関係で、机に向かっての業務をこなす毎日となっています。その中の一つに、3月予定の住宅医スクールの資料づくりも始めています。

シロアリ対策の基本は薬剤処理ではなく、建物構造であり薬剤処理はあくまで補完と考えています。シロアリが侵入できない構造であれば、薬剤処理は不要です。

多くの設計者の方はベタ基礎にすれば、シロアリは侵入しないと考えておられる方が多いようです。理論上は侵入できないかもしれませんが、実際の現場では侵入事例が多く報告されています。

理論的には何とでも言えますが、実際にシロアリが侵入して困るのはお住いの方です。ですので、侵入している事例から何が学べるか、どのように対処するのかのヒントとなれば良いかと考えています。

ちなみに右の写真は、マンション壁内で確認されたシロアリ被害です。壁面にある配管メンテナンス用開口部から撮影した1枚で、設計された方からすればあり得ないことでしょう。しかし、実際には現場で起きていることが真実なのです。

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2024年1月 2日 (火)

住宅医スクール告知

住宅医スクール2024告知 先日もご紹介させていただきました一般社団法人住宅医協会主催の住宅医スクール2024について、今年も講師をさせていただきます。先日の重複になりますが、住宅医スクールをご紹介したいと思います。

住宅医スクールは、既存住宅の調査診断・改修設計・施工・維持管理等の基礎から実践までを学ぶ実務者向けのスクールです。 その講義の一つである、シロアリに関する講義を小員が担当します。

住宅医スクール2024は今季で15期となり、2月から11月まで開催、オンラインにて年1回通年制で合計11日間 22講義が開催予定となっています。詳細は一般社団法人住宅医協会の住宅医スクール2024をご参考ください。オンライン講義ですのでオンデマンド受講も可能となっており、1日(2講義)から受講可能でスポット受講は10,000円(税込)/2講義となっています。

今年の題目は『木材劣化の基礎と対策② シロアリの生態と蟻害の事例、防蟻対策』で、3月16日(土)の予定です。小員の講演では、実際の現場でのシロアリ蟻害事例から調査診断のポイント、シロアリの生態から考えるシロアリ対策、駆除処理や予防処理の実例、シロアリ防除用薬剤など多岐に渡る内容を予定しています。同日には昨年同様京大大学院簗瀬准教授による『木材劣化の基礎と対策① 木材腐朽菌・乾材害虫の生態と対策』です。

住宅医スクール講演後には、毎回聴講者の方からシロアリ対策の相談をいただきます。シロアリ対策は薬剤処理と考えがちですが、建物構造と化学的対策を如何に組み合わせるか重要で、そのヒントを伝えることができればと考えております。当社ではビルダーさん向けのセミナーやビルダーさん主催のお施主さま向け勉強会の講師などもさせていただいております。詳細は阪神ターマイトラボのウェブサイトをご参考ください。

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