イエシロアリとヤマトシロアリを混同してはいけません
本日からTBS系列で『お茶の水ハカセ』という番組が始まりました。第1回の放送は『恐怖の殺人アリの謎を徹底解明』という内容でした。
アリを題材としていますが、シロアリの紹介もありました。沖縄でのイエシロアリに関するロケを通じて、シロアリの怖さを伝える内容です。
ただ残念なのが、シロアリ=イエシロアリという印象を強めている点です。イエシロアリは主に温暖な地域で、千葉県以南の海岸線沿いに生息するシロアリです。決して日本全国に生息するシロアリではないのです。
メディアのロケとしては、コロニー(集団)の生息数が多く、視聴者にインパクトを与えるイエシロアリを取材するのは理解できます。しかし、あたかも日本全土に生息するシロアリかのような印象を与えるのはどうなのでしょうか。
日本全土に生息するのは、コロニーの生息数が少なく、被害部を剥いでもすぐに逃げて隠れてしまうヤマトシロアリなのです。イエシロアリとヤマトシロアリは、同じミゾガシラシロアリ科の仲間ですが、性格も違えば被害の大きさも全く違います。ヤマトシロアリの被害を受けても、食害スピードが遅く、ある程度の被害の段階で気付きますので、家が倒れることはありません。イエシロアリとヤマトシロアリを混同してはならないのです。
勿論、このブログを見て頂いている通り、阪神間にもイエシロアリは生息しています。但し、イエシロアリだから被害が甚大ではなく、イエシロアリが家屋に侵入してからの時間が大きなファクターです。早期発見すれば、木の表面を舐めた程度の被害しかおこりません。シロアリ対策で重要なのは、床下を点検し、シロアリが生息しているか否か調査することが重要なのです。
メディアはシロアリというと被害の大きな害虫という目で見がちなので、ロケをする際にどうしてもインパクトのある映像を撮りたがる傾向にあります。またこの話しは別の機会にお話ししたいと思います。
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コメント
お久しぶりです。この番組うちにも取材協力してきましたよ。担当者がシロアリを全然知りませんでした。昨日星野さん、早坂さんと講習一緒しました。
投稿: エスケイユニオン | 2009年11月18日 (水) 15時41分
メディアはインパクトのある映像を求めます。そのため、害虫駆除ではスズメバチがよく使われます。
スズメバチを駆除するにしても、相手を刺激せず静かに駆除するのが基本なのですが、どうしてもインパクトのある映像を好むため、派手な駆除が好まれます。
今回のイエシロアリにしても、あんなに蟻道を壊してしまっては、駆除するのに必要以上の薬剤を使う破目になります。残念で仕方ありません。
関東支部で講習会があったそうですね。白対協会員外でも参加を募る支部の考え方に共感できます。本来、協会はこうした活動を通じて、会員を集めなければならないと思います。
投稿: シロアリ調査隊 | 2009年11月18日 (水) 23時37分