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2017年1月 6日 (金)

小さな世界

Kanzai211 ハウスビルダーさんもそろそろ仕事始めとなり、今後の日程に関する打ち合わせが始まりましたが、現場作業はまでですので、飼育中のシロアリからご紹介します。

右の写真は、飼育中のアメリカカンザイシロアリです。この飼育ケースは非常に小型で、11年前に落翅虫を数匹入れてから、定期的に水を与えているだけで、特に何もしていません。随分と生息数は増えましたが、50頭も生息していません。

写真に多く写っているのが擬職蟻で、所謂働きアリです。写真中央下部に色の異なっているのが羽アリが翅を落とした状態の落翅虫です。この落翅虫が女王や王となり、繁殖します。ちなみに写真中央上部で頭部の色が異なるのは、兵蟻です。

小さな飼育容器で飼育している影響もありますが、この10年以上かかっても現時点での生息数は50頭にも至りません。アメリカカンザイシロアリは急速に繁殖するのではなく、非常にゆっくりと繁殖して行きます。これがアメリカカンザイシロアリであり、アメリカカンザイシロアリの被害が急速に広がらない原因です。

それだけにアメリカカンザイシロアリの駆除は、生息場所を徹底的に調査し、適切な薬剤で処理する必要があります。きちんと処理をしていけば、繁殖速度よりも駆除速度が上回るため、時間はかかりますが被害を抑制することができます。但し、被害や生息場所は目視可能な範囲だけでなく、目視不可な部分にもあります。そのため、完全駆除は困難ですが、問題ないレベルまで抑えることを意識して駆除にあたる必要があります。

アメリカカンザイシロアリだから恐ろしいと思うのではなく、きちんと対峙して行くことが重要です。生態を考慮せずアメリカカンザイシロアリ対策を行うかたは、すぐにマニュアル化したがる傾向にあります。アメリカカンザイシロアリを飼育すれば、マニュアル化が如何に意味がないかがわかります。それと薬効試験を色々な方法で実施すると、薬剤は種類ではなく、使い方です。処理すれば被害を抑制できるという謳い文句の薬剤であっても、実際の現場では効果が不十分であり、実験室での再現も可能です。

駆除は現場で行うものであり、現場から得られる経験と情報が重要です。今後も実験結果を現場へフィードバックし、より確実な駆除方法を模索して行きたいと思います。

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