2024年12月30日 (月)

群飛回数

アメリカカンザイシロアリ飼育ケース 年度末を迎えて大掃除をするなか、アメリカカンザイシロアリの飼育ケース内の掃除も行っています。

今年の傾向ですが羽アリ発生現象である群飛は小発で、季節を問わず発生しました。

ちなみに偶数月の月末に糞の撤去を行っており、今回有翅虫(羽アリ)の死骸や落翅、擬職蟻や兵蟻の死骸が確認されました。

おそらく11月に発生したものと考えられました。文献やウェブサイトなどを見るとアメリカカンザイシロアリの羽アリは、6月から9月の日中に発生すると記載されていることが多いようです。

飼育するとわかりますが羽アリは年中発生しますし、実際の現場でも同傾向にあります。現場で対峙されている業者は年中発生する内容を記載していますが、対峙したことのない業者は相変わらずの群飛時期が記載されています。

アメリカカンザイシロアリを長年飼育観察していますが、いまだに新しい発見があります。薬効試験をすると更に顕著で、思ってもみない結果となります。

| | コメント (0)

2023年12月30日 (土)

水は必須です

水を飲むアメリカカンザイシロアリ 今日ご紹介するのは、アメリカカンザイシロアリ飼育ケースからのご紹介です。飼育ケース内に水を与えると、水を飲みにくるアメリカカンザイシロアリの擬職蟻です。

研修会でアメリカカンザイシロアリの生態を紹介すると、一番驚かれるのが水を飲みにくる様子です。静止画ではわかりにくいのですが、動画で見るとしっかりと水を飲んでいます。

アメリカカンザイシロアリも昆虫ですので、生命維持には水が必須です。乾燥した木材を食害するため乾材シロアリと呼ばれおり、米国でも drywood termite と呼ばれています。そのため、水がなくても生息できると思われている方がおられるようです。

大量のシリカゲルを入れた容器内にアメリカカンザイシロアリが生息する木片を投入したところ、半年後には非破壊シロアリ探知機に生態反応が得られなくなりました。過乾燥状態で木材中の水分が失われると、アメリカカンザイシロアリも生息できないようです。

但し、通常の木材には結合水や自由水が含まれていますので、アメリカカンザイシロアリの生息は可能です。気乾状態でも生息は可能なのか、繊維飽和点で生息が可能なのかは今後の課題にしたいと思います。

| | コメント (0)

2023年12月24日 (日)

羽アリは発生しています

羽アリの発生した木材 今日ご紹介するのはアメリカカンザイシロアリ飼育ケースからのご紹介です。この木材は3年前に現場からいただきました。ベランダのデッキ部分で被害が確認された木材です。

持ち帰ってから半年以上、糞の排出はありませんでした。その後観察を続けると僅かに糞の堆積が確認され、ちゃんと繁殖してくれていました。気になったのは工務店さんがデッキを解体する前に、市販の殺虫スプレーを噴霧していたことでした。それに負けず繁殖してくれたようです。

ちなみにこの飼育ケースでは、羽アリの発生も確認されています。しかし糞の堆積量ですが3年が経過しても総量がこの程度で、生息数自体はそう多くないようです。これがアメリカカンザイシロアリの特徴です。

アメリカカンザイシロアリの被害はゆっくりと進行します。ですので生息場所をピンポイントで捉えて、駆除することが必須です。受動的には糞の排出孔及びその付近から対応することですが、能動的には非破壊シロアリ探知機を用いて生息場所をピンポイントで捉えて対策することがよりベストです。

| | コメント (0)

2023年12月17日 (日)

復活

復活したアメリカカンザイシロアリのコロニー 今日はアメリカカンザイシロアリ飼育ケースの一つをご紹介したいと思います。右の写真はオヤシロアリ技研の尾屋さんからいただいた、アメリカカンザイシロアリの生息が確認された丸太です。

薬剤試験のためこの丸太からアメリカカンザイシロアリを500頭以上を採取し、実験に供試しました。そのため丸太から糞の排出は15年以上確認されず、生息していないのではと考えられました。しかし昨年から糞の排出が確認されるとともに、有翅虫(羽アリ)の羽化も確認されました。

昨年の糞の排出量は僅かでしたが、今年はかなりの量の糞の排出が確認されました。かなり危機的な状況の数まで減ったものの、その後少しづつ増えかなりの生息数まで戻ったものと考えられました。非破壊シロアリ探知機を用いて確認しても、反応がかなりあることを考慮すると相当な生息密度と考えられました。

アメリカカンザイシロアリのが木材中に侵入し繁殖し始めてから、かなりの生息密度になるまで相当時間がかかるようです。糞の排出が少量の場合、コロニーの数はまだ少ないと考えられますので、やはり早期対応が重要と考えれます。早期発見については、お住いの方が早く糞の堆積である異変に気付くか否かがポイントです。その上で、きちんとピンポイントで駆除処理することが必須と考えます。

アメリカカンザイシロアリは、完全駆除が難しいシロアリです。アメリカカンザイシロアリ被害が確認される地域では、羽アリによる外部侵入があることが理由です。ですので糞の排出が確認された段階で、一つづつコロニーを駆除する丁寧な処理必要が必須です。

| | コメント (0)

2023年12月11日 (月)

給水

給水に伴い這い出てきたアメリカカンザイシロアリ擬職蟻 今日は飼育ケースの、アメリカカンザイシロアリをご紹介したいと思います。写真は先日撮影したもので、アメリカカンザイシロアリ擬職蟻の徘徊が確認されています。

アメリカカンザイシロアリ擬職蟻は、通常木材中で生活しておりあまり目にする機会はありません。しかしこの日は多くのアメリカカンザイシロアリ擬職蟻の徘徊が確認されました。

この理由ですが、給水が原因です。通常3箇月を目安に給水しているのですが、ここのところ忙しいこともあり、5箇月ほど給水していない状態でした。給水をしてから数時間すると、アメリカカンザイシロアリ擬職蟻が水を飲むため木材中から出てきたのです。

アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材を食害するため、水は不要と思われている方が多いようです。しかしアメリカカンザイシロアリも昆虫で、水は必須成分です。木材中に含まれる自由水を供給源としていますが、それだけ満足できるものではないようです。

実際の現場でも垂木や鼻隠しなど雨掛りなどに、よく被害が確認されています。アメリカカンザイシロアリを飼育観察すると、いろいろな生態が見えてきます。特に書籍や文献、ウェブサイトに記載されている内容と異なることは多くありますので、これら内容を鵜呑みにはしない方がよいと思います。

| | コメント (0)

2023年12月 5日 (火)

少発

アメリカカンザイシロアリ飼育ケース 今年はあまりご紹介できていなかった、アメリカカンザイシロアリ飼育ケースからご紹介したいと思います。今年の傾向として、羽アリの発生が少発であったことが挙げられます。

アメリカカンザイシロアリの羽アリは季節を問わず、真冬でも発生します。しかし当社で飼育中のアメリカカンザイシロアリの羽アリが最も多く発生するのは、5月中旬から下旬です。これは実際の現場でも同傾向にあります。

しかし今年は2月に纏まった発生があり、例年最も発生する5月中下旬には発生がありませんでした。その代わりに7月下旬に纏まった発生がありました。過去にもこのような現象は見られたことがあり、結論的にはアメリカカンザイシロアリの羽アリ発生時期は特定していないということになります。

残念ながらアメリカカンザイシロアリの生態を理解していないシロアリ防除業者のホームページには、6~9月の日中に羽アリが発生すると記載されています。酷いシロアリ防除業者になると、アメリカカンザイシロアリすら見たことがないのが現状です。生態を理解していないのに、対策を実施することなどあり得ません。

小員もアメリカカンザイシロアリの生態を、理解しているとは思っていません。だから、飼育や現場での観察から生態を理解しようとしているのです。シロアリ対策の基本はシロアリの生態を考慮することで、薬剤を大量に使うことではありません。ましてや室内で処理するケースの多いアメリカカンザイシロアリ駆除の現場では、どれだけ薬剤使用量を減らすことが重要です。

| | コメント (0)

2023年2月22日 (水)

復活

糞の排出は復活した丸太 昨日ご紹介した経理作業や研修会資料づくりなど机にかじりついた状態となっています。そこで今日は、飼育中のアメリカカンザイシロアリ飼育ケースからご紹介したいと思います。

右の写真はオヤシロアリ技研の尾屋さんからいただいた、アメリカカンザイシロアリの生息が確認された丸太です。この丸太からアメリカカンザイシロアリを採取し、薬剤試験に供試しました。かなりの数を採取したので、この丸太から糞の排出は15年以上確認されませんでした。しかし15年が経過したころから、再び糞の排出が確認されました。最近では有翅虫(羽アリ)の羽化も確認されています。

アメリカカンザイシロアリの有翅虫が木材中に侵入し繁殖し始めてから、糞の排出まで早いと1年以内で排出されるケースもありますが、この飼育事例のように何年も経過してから排出されるケースもあります。

室内で糞の排出が確認された場合、数年前に木材中へ侵入したと考えるのが一般的です。ですので近くの場所は他の場所にも侵入していると考える必要があります。アメリカカンザイシロアリの完全駆除は外部侵入もあるため事実上困難であり、糞の排出が確認された段階で丁寧に一つづつコロニーを駆除する必要があるのです。

| | コメント (0)

2023年1月18日 (水)

水は飲みます

水を飲むアメリカカンザイシロアリ 右の写真は、飼育中のアメリカカンザイシロアリ飼育ケース内の様子です。水を与えるとアメリカカンザイシロアリの擬職蟻が水を飲みに出てきます。

アメリカカンザイシロアリは木材中から水分を取って生息しているとされています。しかし乾燥した条件下では、水分不足となりますのでアメリカカンザイシロアリは積極的に水を取りに行きます。

その証拠にアメリカカンザイシロアリが発生している実際の現場では、窓枠や垂木など雨のかかる部分でよく被害が確認されます。薬剤評価試験を実施していても、湿度の高い条件下の方が喫食率は高くなります。昆虫である以上、水は必須成分なのです。

アメリカカンザイシロアリは水を必要とせず、乾燥して木材に生息すると記載しているホームページがあります。残念ながらアメリカカンザイシロアリを見たこともない業者が書いている場合がありますので、ご注意ください。

| | コメント (0)

2022年12月18日 (日)

好き嫌い

丸太外周部アメリカカンザイシロアリ被害 久しぶりに、アメリカカンザイシロアリ飼育ケースからご紹介したいと思います。写真がアメリカカンザイシロアリが生息中の丸太です。オヤシロアリ技研の尾屋さんからいただいた個体で、飼育始めて15年経過しています。

食べられているのは丸太の外周部が中心で、好き嫌いが明確にあります。硬い部分よりも軟らかい部分が食べ易いようなので、このような傾向となります。建築士の先生やハウスビルダーさんから、アメリカカンザイシロアリにヒノキはどうですかとよくお問い合わせをいただきます。残念ながら、アメリカカンザイシロアリはヒノキが好きなようで、被害は甚大となります。

特に関西ではヒノキ神話の傾向が強いようで、ヒノキはシロアリの被害を受けないと考えておられる建築関係の方が多いようです。アメリカカンザイシロアリ以外のヤマトシロアリでもヒノキは被害を受けます。赤身と呼ばれる中心部でも被害を受けた事例を実際に見ています。世間の俗説には、いい加減なことが多いのでご注意ください。

| | コメント (0)

2022年10月11日 (火)

膨らむ腹部

腹部が膨らんだ生殖虫 本日は久しぶりに、アメリカカンザイシロアリ飼育ケースからご紹介したいと思います。今年のアメリカカンザイシロアリの羽アリは、コンスタントに発生しました。

真冬の1月及び2月も、羽アリの発生が確認されました。アメリカカンザイシロアリと対峙したことがないシロアリ防除業者のホームページでは、6月から9月の日中に発生すると記載されていることが多いようです。しかし、広島県内の現場や兵庫県内の現場の小屋裏で、実際に活動中の羽アリを確認しています。ですので羽アリの発生時期を特定していること自体、アメリカカンザイシロアリを理解していない証拠です。

ちなみに当社で飼育中のアメリカカンザイシロアリは、5月中旬に最も沢山羽アリが発生しました。その後もズルズルと羽アリの発生が続きましたが、これがアメリカカンザイシロアリの生態なのです。

ちなみの写真の落翅虫は、恐らく先月発生した羽アリが翅を落とした個体です。腹部が膨らんでいるので、既に交尾産卵した生殖虫と考えれます。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧